禁煙;最近の話題:市内全域禁煙
タバコの煙が肺癌や咽頭癌・胃癌の原因になったり、心筋梗塞をはじめとする心血管病変の原因となることは有名です。また、妊婦さんにも重大な影響があります。まず不妊が多くなります。また出生体重が減り、奇形の合併率が高いこともわかっています。たとえ、母親がタバコを吸わなくても、室内で夫が吸っていれば同じことです。
今回の話題は市内全域禁煙の話です。2002年にアメリカのモンタナ州のヘレナ市が始めました。当初はまわりからやや冷ややかに見られていたようですが、その後の6ヶ月間の統計をとってみると、なんと、まわりでは心筋梗塞が増えていたのに、その市内では心筋梗塞で死ぬ人が減ってきたことがわかりました。このことは、同じように全域禁煙にしたほかの町でも確かめられたため、アメリカで一斉に市内全域禁煙が広まり、その運動は世界に広がりつつあります。
この事実は、1人の市民がタバコを吸うことは、その人及びその人の家族の健康に加え、その人が住んでいる町の住人全員の健康を損ねているのだという事実を明かしたことで、大きな意味のある運動だったと思います。
~おくすり講座(目薬編)~
★さし方の基本★
仰向けに寝かせ、指で「あかんべえ」のように下げるか指を使って上下のまぶたを開いて、まつげやまぶたに目薬の先が触れないよう2~3cm上から1滴落とします。1滴以上さしても効果は変わりません。
★目薬を上手くさせないときは…★
・泣いていると涙で目薬があふれ出てしまうので、泣き止むのを待ってからにしましょう。
・頭を振って嫌がるときは、仰向けに寝かせてヒザや股の間に子どもの頭を固定させてみましょう。
・大泣きしてしまったり、暴れたりして、どうしても上手くさせない場合は、眠っている時にさすのもひとつの方法です。熟睡してからさすのがポイントです。
★保管方法★
目薬によって異なりますが、開封後はフタをしっかりしめ冷所または室温で保管してください。
治療が終わる、あるいは1ヶ月を過ぎたら、残った目薬は捨てるようにしましょう。
最新のワクチン情報
【1】日本脳炎ワクチン
長年使用してきたネズミの脳細胞を使用して作成したワクチンから、サルの腎細胞を使用して作成したワクチンに変更されました。より安全性が高いと考えられています。現在、ジェービックとエンセバックの2種類が市場に出回っていますが、安全性・有効性とも差はないようです。新しいワクチンが出そろったことで、厚生労働省は平成17年以来接種の差し控え勧告のため、ワクチン接種機会を逃した子どもに対し接種を呼びかけています。公費負担ですので無料です。20歳未満の方で、合計4回の接種ができていない方は、この機会を逃さず接種してください。
【2】インフルエンザワクチン
日本のインフルエンザワクチンは、蛋白を引きちぎって作ったワクチンで、その上こどもに接種する量が諸外国よりも少ないため、世界で最も安全なインフルエンザワクチンですが、その半面効果もいま一つと言われてきました。有効性を上げるため、厚生労働省は今年からこどもに接種するワクチンの量を世界基準に引き上げることをきめました。そのため、本年からワクチンの接種量は以下となります。
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尚、価格は今年から統一価格でなくなりますので各医院で違います。
当院では、3歳未満:1回 2,000円、13歳未満:1回 2,500円、13歳以上:1回 3,000円
【3】子宮頚癌ワクチン・Hibワクチン・肺炎球菌ワクチン
本年1月から公費負担で接種が始まりました。しかし、これは予防接種法の改正を行わずに補正予算で発動された制度です。この予算は1年限りですので、来年の3月31日で期限切れとなり、4月1日から有料になります。この秋までに予防接種法の改正が議会に上提されませんでしたので、今後、補正予算が再度組まれない限り無料とはなりません。
ですから、現在接種対象ではあるが、接種をしていない人は早めに接種を計画してください。特に高額の子宮頚癌ワクチンは3回目が6ヵ月後になりますから、9月中に1回目の接種を済ませましょう。
子宮頚癌ワクチンは、今まで使用されていたのは「サーバリックス」といい、癌を引き起こす2種類のウイルスをカバーしていました。この8月26日に、この2種類に加え、尖圭コンジローマを引き起こす2種類もカバーして、計4種類のウイルスを予防できる「ガーダシル」という新しいワクチンが認可されました。投与法は「サーバリックス」と同様3回接種です。公費認定は9月半ばになる模様です。
【4】ロタウイルス・ワクチン
ロタウイルスは乳幼児に下痢を引き起こすウイルスで、下痢の原因の20~30%を占めるといわれます。世界では年間に60万人の死者が出ます。
日本や欧米の先進諸国では、さほど死者は出ませんが、冬季の入院の原因となります。アメリカでは年間270万人が発症し、5.5~7万人が入院、20~60人の死亡があるといい、日本でも年間7~8,000人に入院があります。
そのため、以前からワクチン開発を進めていましたが、2006年から順次2種類のワクチンが開発に成功して諸外国で使われ始め、非常に高い有効性を示しています。この度認可されるのはその一つの、「ロタリックス」です。1ヵ月間隔で2回飲むワクチンですが、生後6ヵ月までに飲み終わらないといけませんので、他のワクチンスケジュールとの調整が必要となるでしょう